遥か彼方(短編)

君の笑顔





今は十月。

体育祭も終わり、文化祭が始まろうとしている。

「あーあ。なんでうちのクラスはメイド喫茶じゃないのかねー。恭介に見せたかったな〜。」
残念ながら、うちのクラスは着ぐるみケーキ屋さん。
嬉しいことに、家がケーキ屋さんの子がいて、ケーキを提供してくれるらしい。
「葵はうさぎでいいよね。私なんか、ライオンだよ?皆似てるって、全然似てないし。」
優子。私はそっくりだと思う。
「あ、私はパンダ姿を見てもらうんだぁ♪」
美咲は上野くんといい感じ。多分両想い。

「ねー、葵。今日ひまぁ?恭介達の学校行こうよー。」
「え!行きたいです!」
「じゃ、私は上野くんと帰る!」
美咲、最近行動が大胆ですねー…。






「ついたぁ。」
私達はとうとう遙の学校に着いてしまった。

「ね、ねぇ優子。ってあれ?」
「きゃー!きょーうすけー頑張れ!」
優子はついたらすぐ、恭介のいるバスケ部の応援をしていた。
…恥ずかしい…。

「よし。私も遙のとこにいこ!」
って、剣道だから武道館だよね?
武道館ってどこ?
「あれ、違う学校じゃね?」
「めっちゃ可愛いじゃん。」
ん?視線が痛い……。
に、逃げよっ!

「あ、これかも…。」
着いたのは見るからに武道館ってとこ。
「し、失礼します…。」
入ってみたら、ちょうど終わろうとしている頃だった。
あ、遙。
かっこいいじゃん。
遙は剣道着を着ていて、いつもと違う感じのかっこよさを出している。
って、なにみとれているんだろ!
「は、遙!」
「葵!?なんでここに?」
「実は、優子と来てて…。迷惑だったかな?」
もうこないでって言われたらどうしよう……。
「なわけねーだろ。めっちゃ……やば。嬉しすぎる……」
「あ、早く着替えて来なよ!」
< 19 / 30 >

この作品をシェア

pagetop