最初の一歩はこちらから ~似たもの同士のささやかな恋の始まり~
 私だけにじゃない。
 ケイちゃんは誰にでも優しかった。


 今はもう亡きおばあちゃん。
 うちに遊びに来ると、ケイちゃん、必ず、おばあちゃんの肩を叩いていってたっけ。

 お手伝いを頼まれそうになると、他の子たちはみんな逃げ出すのに、律儀に「何をすればいい?」って大人の元に向かうのはケイちゃん。

 大人になってから、すっかり認知症が進んじゃったおばあちゃんに、好物のおはぎを手土産に会いに来ては優しい声で話しかけているのも、イマイチ要領を得ないおばあちゃんの昔話に笑顔で相槌を打つのも、全部ケイちゃんだった。

 いつだって優しい、大好きないとこのお兄さん。

 整ったその顔が好きだった訳じゃない。
 引き締まった身体や180センチ以上もある長身が好きな訳でもない。

 私が好きなのは、ケイちゃんそのものだ。
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