captive of the kiss
After Kissing
ぎゅっと抱きしめてくれる
優しい香りと腕に包まれて
目を閉じてしまう。

…あったかい…。

「ごめん、亜希、帰るよ…。」

また、強く…抱きしめられた。

離れなきゃいけないから
離れたくないと
思ってしまうのかもしれない。

だって…毎日、毎日のこの…
別れる瞬間が、
本当の別れになるかもしれないと
思ってしまうから。

離れたくないけど…
この男性は離さなきゃいけない。

濡れた唇が渇く間もなく…
私は静かに車を出た。

課長の目にはどう映るんだろう。

毎日、毎日、こんな切ない別れと
痛むほどのドキドキをくれる男性。

好きな男性と居れるなら
少し我慢しても居たいなんて…
私はズルい人間になってしまった。

一緒に居れる瞬間が終わる。
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