☆決心☆
ひとみ
崇史は、あたしの家からバイトしながら学校へはちゃんと通っていた。

あたしのバイト先はファミレス。
ある日、懐かしい顔を見掛けた。ひとみだった。
ひとみは、数人の中の一人で、その中にはあの時の男の顔があって、体が固まるのを感じた。過去の記憶が思い出されて怖くなった。
水とお絞りとメニューを持っていかなくてはならない。でもどうしても足が出ていかない。平日の午後遅くの時間だから他に接客スタッフがいなくって。
よし!あたし行く。だって、それがあたしの仕事だもん!
「いらっしゃいませ。失礼しまぁ~す。」
笑顔でグラスを置いた時、ひとみはあたしの事に気付いたようだった。はって小さく息を飲むひとみ。
あたしは、なるべく顔を上げないようにして注文を聞き、料理を運んだ。ひとみは何か言いたげに見えたが、一度も口を開く事はなかった。ひとみの横の男もさっきから黙ったまま・・・
早く帰ってほしい。切実。
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