星に願いを~たくさんの幸せをありがとう~



~拓真 side~


俺は美姫が好きだ。

もう10年以上も前からずっと一緒。

詩織・夏妃・柊とも付き合いは長い。

でも美姫とはこの3人よりも長い時間一緒にいる。


美姫の両親は美姫が5歳の時に事故で亡くなった。

美姫の両親と俺の両親は昔からの付き合いで 1人になってしまった美姫を俺の両親が
引き取り俺たちが中学を卒業してからは美姫は
1人暮らしをはじめた。

俺も母さんも父さんもとめたがだめだった。

きっと美姫なりに遠慮してるんだろ。

それと…

美姫は体が弱い。

不治の病を小さい頃から抱えている。

あまり激しい運動はできないし
急に熱が出たり腹痛が起きたりする。

本人は病気のことを気にしている。

でも俺はそんなの気にしない。

美姫が笑っててくれれば
傍にいてくれれば俺は幸せだ。

もっと近づきたい。

抱きしめたい。

特別な存在になりたい。

でも言えない。

結果はわかってるから。

今の関係に戻れないのは嫌だから。

だから今はまだ言えない。


やべぇ…

俺の部屋で2人きりになって舞いあがってた。

美姫の好きなタイプの話聞いてたら
俺なら大事にするし全部を受け止められる
って思ったら

抱きしめてた。

この後の事なんて何も考えてなかった。


美姫『どうしたの?』

拓真『…俺お前のこ…』


そう言いかけた時


おばさん『拓真ーー!美姫ちゃーーーん!
ごはんできたわよぉ〜! 』


母さんの声だ。


拓真・美姫『………』


沈黙が続いた。

嫌われたかと思い美姫をみると困った顔をしている。

そうだ。美姫はそういう奴だ。

バカみたいにお人好しで

バカみたいに人のこと信じて

俺のこと1ミリも疑ってないのが
痛いほど伝わってくる。

俺、バカだよな。

傍にいたいのにあんなことして…

あの時母さんが呼ばなかったら
俺どうしてたんだろ。

美姫を困らせたくない。

笑顔をみていたい。

美姫…お前は俺のこと好きじゃないんだよな。

みてればわかるよ。

お前はアイツのことが好きなんだろ?

先生…紺野のことが。

お前は隠してるつもりみたいだけど
何年お前といると思ってんだよ。

見てりゃわかるよ。


でも2人は生徒と教師。

わかってるよな?


俺もバカだな…

俺のことみててくんなくても
アイツと話したあとの
すごく幸せそうな笑顔をみてて
俺まで笑顔になっちゃうんだから。

それっておかしいかな…。

でも俺は美姫が好きだ。

美姫じゃないとダメなんだ。

これからもずっと傍にいたい。

俺をみてくれるまで…


俺はお前とのことを星に願った。


「美姫ともっと近づけますように」と。

そう星空に願ったんだ。
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