星に願いを~たくさんの幸せをありがとう~



~拓真 side~


母さん『みんな~ごはんよ~♪』


母さんに呼ばれ下に降りると

…美姫がいない。

まだ部屋にいるのか…?


母さん『あら美姫ちゃんは?』

拓真『まだ部屋みたいだから呼んでくるわ。
先に食べてていいから。』


そう言って階段を上がり美姫の部屋のドアをノックするが

…反応がない。

でも部屋を出た形跡はないからいるはずなんだけど…。


拓真『美姫?』


そーっとドアを開け中をみると

ボーッと座っている美姫。

俺が話しかけても何の反応もない。

何かあったのははっきりわかった。

…でもこの状態は尋常じゃない。

美姫は俺が近づいても泣くわけでもなく

笑うわけでもなく…

話してすらくれない。

意識がここにないような…

まるで抜け殻のような状態。


これ…やばいだろ。


拓真『美姫!どうしたんだよ!!
しっかりしろよ!!』


体を揺すり必死に声をかけると


美姫『………拓真…どうしたの…?』


やっと返事をして俺をみてくれた。

どうしたはこっちのセリフだよ。


拓真『何があったんだよ。
みんな待ってるぞ。』


座ったままの美姫に手を差し伸べると

ぎゅっと俺のYシャツを掴み

俺にしゃがむようにクイクイと引っ張ってきた。


拓真『どうした?』


言われたとおりしゃがむと


美姫『……フラれちゃった。』


ボソッと呟いた美姫の目には涙はなく…

澄んだ綺麗な目をしていた。

…いつもなら泣くところなのに。

泣いた後もないし…

どうしたんだろう。

美姫の言葉に何て反応すればいいのか困っていると


美姫『…いつもそう。
わたしの大事な人はみんな…
みんな離れていっちゃう。』


「みんな」…

両親の事か。

それだけ言い部屋を出ていこうとした美姫を引き止め


拓真『…俺がいる。
みんないなくなっても俺は…
俺だけはずっと傍にいるから。
…約束しただろ?』


抱きしめていた。

美姫は俺の手を握り黙って頷いた。

その時


♬...♪*゚♬

ケータイが鳴りみてみると

山瀬からのメール。

内容は…


「俺の美姫ちゃんに何してるのかなー?
イチャついてないで早く下にかもーん☆」


拓真『………』

美姫『どうしたの?』


さすがにこのメールみせる訳にはいかないし…。

拓真『早く降りてこいってさ。』


てか「俺の美姫ちゃん」って何だよ。

お前のじゃねーし。

紺野と別れてもアイツだけには絶対渡したくないな。

それと…

ごめん。

美姫がフラれて落ち込んでるのに

少し心の中で嬉しいと思ってしまった。

そんな俺は最悪ですか…?
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