星に願いを~たくさんの幸せをありがとう~



~美姫 side~


まっくらで何も見えない―


美姫『ねぇ…』


手を放してほしくてそう伝えようとしたけど…


拓真『もー少し待って。』


目の前はまっくらなまま。


みせたくないものって…何?


美姫『拓真…お願い。』

拓真『んー…?』


これは…

見せる気ないな…。


わたしの為なのはわかるけど…

やっぱり気になるよ。

でもこのままだとみれないし…

目隠しとってくれる時には消されちゃってるだろうし…

どうしよう…。


そうだっ!

いいこと考えた!


美姫『ねぇ…』

拓真『んー?』


その名も…


美姫『…おなかいたい。』


「仮病作戦♪」


これなら…

心配性の拓真なら…


拓真『え!?大丈夫!!?』


そう言って手を放してくれた。


ほらね。

そうしてくれるって思った。


拓真…ごめんね。

でもこうでもしないと手放してくれなかったでしょ?


心の中で謝り

黒板をみようとした。


拓真『あ!ちょっ…待っ…!』


慌てる拓真を無視して黒板をみると…



「桜空美姫は教師と付き合ってる。」

「体育の時間は保健室でイチャイチャ♡」

「ズル休み」

「仮病」


などが黒板いっぱいに書いてあった。

これ…

蒼の事…だよね。

一体誰が…

なんでこんな…

とパニクっていると


女子①『保健室って…紺野先生の事?』

女子②『確かに美姫ちゃん体育の時保健室にいるよね。』

女子③『もしかして病気って言うのも嘘だったりして…』

女子④『なにそれ。仮病して嘘までついて先生と付き合ってるとか…さいてー。』


とコソコソ話してる声だけが耳に入ってきた。


…どうしよう。

頭の中が真っ白で何も出てこない。

足も誰かに掴まれてるみたいに動かない。


美姫『ハァ…ハァ……ハァ…』


だんだん息が…苦しくなってきた。


そんな時―


拓真『違うよ。』


拓真の優しい声が響き

教室のざわついていた声がシーンと静まった。



拓真『…美姫が付き合ってるのは…



…俺だよ。』


……えぇ!?

今…なんて…

無言で驚いているわたしとは逆に


拓真『…だからこんなくだらない嘘本気にしなくていいよ。』


拓真は冷静に説明していた。


拓真…ありがとう。

わたしの為に嘘までついてくれてすごい嬉しいよ。

でも…

よかったの?

好きな人いるんでしょ?


そう思うとすごく申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

そんな複雑な気持ちを伝えるかのように
拓真の制服の裾をぎゅっと握った。
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