多重人格者【完結】
「なあ、あやめ」
「……うん」
「もう一度、キスしていい?」
「……」
「本当は口にしたいけど、おでこで我慢するから」
「……」
「…それは肯定と受け取るよ?」
そう言うと、心君は優しい笑みを向けて私の頬を包む。
親指で涙をゆっくり拭うと、顔を近付けて来る。
それから、ちゅっと私のおでこに短くキスをした。
ふふっとお互い微笑む。
「…んじゃ、あやめは早く寝ろよ。
眠れるまで隣にいてやっから」
「……心君は?」
「俺は平気。すぐに眠れるから」
「そっか。じゃあ、お願いします」
「ん」
私が布団に潜り込むと、心君は私の近くに手を置きこっちを見つめていた。
上から見下ろされるのが、どこか気恥ずかしくて思わず視線を逸らす。