多重人格者【完結】
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「……くっ。いてぇ」


少しだけ落ち着いた俺は、ここから移動しようと立ち上がる。
だけど、痛みに顔が歪む。

静まり返る校舎。


…授業中だよな、多分。


今、何時だ。携帯カバンの中だわ。
寄りによってこんな時にカバンの中って、アホか。俺は。

敵の手中じゃねえか。


その時。
何時間目かはわからないけど、頭上でチャイムが鳴った。


あー…休み時間で誰かと鉢合わせするの嫌だな。めんどくせえ。


殺樹は腹や、隠れてる箇所ばかり狙って蹴って来た。
きっと、わざとだ。

バレたらめんどくさいもんな。


特に、あやめは女だから。


まだ。

殺樹が出ているのだろうか。



俺は彼女、いや、彼を連れて行けるのだろうか。



ズキズキと痛む腹部を抑えると、よろよろと俺は教室へと向かう。
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