多重人格者【完結】
生を受けた日

――――…ここは酷く暗い。


≪反吐が出るな≫


ぽつりと呟いたカンナの言葉は、まるで何事もなかったかの様にまた静寂に包まれた。


“二度と、カンナ達に辛い想いさせちゃいけないんだ”


先程のあやめの言葉。
これをきっと、殺樹も聞いていた筈だ。


だけど、何も答えようともしない、いや、寧ろ表情をぴくりともさせない殺樹にカンナは苛立ちを感じていた。
カンナは爪を噛むと、パチンパチンと何度も弾く。

それを一度、ちらっと殺樹が見る。

だけども、すぐに戻る視線。


≪お前は、いつ生まれたんだよ≫


イライラしながら、カンナはどうにか気を紛らせようと殺樹に話をする。
その問いに、殺樹は口角を静かに上げた。

それがまた、カンナの癪に障った。
殺樹もそれがわかっているかの如く。
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