見た目イケメン、中身キモメン

「あ、あの……」

「……」

非常にヤバいことになったな。彼女の友人なら、彼女の家の場所も知っているだろうし、その内に来るな。

どこかに避難すべきだが、人通りあるところもやめた方がいい。ネット社会を侮ってはいけない。

だとすれば、次に安全なのはーー俺の家か。

いやいやいや、と俯き考える。

俺の家はまずい。
彼女の写真とか、髪の毛とか、ゴミ箱にあった使い捨てマスクとか、後で捨てておくからと俺の車に置きっぱなしにさせて入手したジュースの缶や、ついさっき、台所にて入手し、懐に入れた、彼女食べかけのバナナを飾ったりする部屋を見られるわけにはいかない。

バナナは皮ごと食べて処分出来るが、他は!

どうすればいいんだ、いったい。
彼女の翼をもぐ勢いで、悪魔たちが寄って来るぞ。くっそ、俺の誕生日死ね。彼女とおんなじ日に産まれてくるから。

「わた、私……馬鹿なことを」

と、泣きそうな声。
顔を上げれば、案の定だった。

迷ってはいられない。
彼女を守れるのは俺しかいない。

彼女の手を引く。ここは危険だ、俺の部屋に行こう。

ーー彼女コレクションがあるのは寝室。リビングにさえいてもらえれば、セーフ。

俺の手の力に逆らわない彼女。泣くのを堪えるためか、俺の体に抱き付いて来た。

頭を撫でる。つむじの匂いをかいでおく。ーーそれどころではなかったと、彼女を引き連れ、部屋を出た。




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