見た目イケメン、中身キモメン

ーー

背中越しでは、泣き顔を見られない。
泣く彼女なんて、この前一緒に見た犬映画以来のレア物だ。

まじまじと見る。カメラないから、脳内に焼き付け保存する。ああ、鼻水まで出して。レア中のレアじゃないか。

顔がかなりぐしゃぐしゃになったが、彼女なら許せる。可愛い天使は泣いても天使だ。

にしても、泣きすぎだな。
よもや、どこか怪我でも!?

「わ、私は、大丈夫、です、か……ら」

ぺたぺたと触っていく内に、何故だか手が離れなくなった俺に、彼女は無理して笑ってみせる。

そうか。俺を心配して、こんなに泣いてくれているのか。以前、ベランダからダイブした時にノロウィルスと偽らずに、入院していたと言えば、この泣き顔を見られたのかあちゃー。

ともかくも、そろそろ身体チェックする手を離さねばならない。時間経過で合法から非合法に成り果てる。離れるためにも立ち上がった。

ーーが、しかして、彼女の肌の味を覚えてしまった俺の手は名残惜しそうに前に出ている。 

引っ込める前、彼女が俺の手を取った。
自然の流れで立ち上がらせる。

身長高くて良かったと思う瞬間。上目遣い彼女が俺を見ている。二メートルほどまだ伸びたい。

「倉石さん、病気治ったんですね」

「……」

病気?
彼女を病的になるほど好きでいることが見抜かれたのか。

考える間もなく、彼女は続けた。

「さっき、触れるなって。う、上田くんが私のこと触ったから。わ、私は、倉石さんの恋人ですから、安心して下さい!」

あれが上田かあぁ!
くっそ、もう一発殴りたい!

これ以上の暴力行為は過剰防衛だが、知らん。俺の中では、天使にAV演出させた上田として極刑ものだ。

行こうとする直前、彼女が止めに入る。

動けない。抱きしめられた。極刑中止。彼女は、上田にまで慈愛を持つのか。

もやもやとした気持ちがある。
というか、今ので懐のバナナが潰れた。彼女は気付いてないのかヒヤヒヤさえもしてきた。

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