業務時間外の戯れ
わたし、刑部詩織は小さな雑貨屋に勤める事務員だ。

国内外の雑貨を扱う会社でほとんどが外注やバイヤーや営業でなりたっている中、小さな頃から雑貨屋で働きたかったわたしにとっては夢のある仕事だった。

といっても実は小さな頃から通っていた文房具屋さんが店をリニューアル。

雑貨屋に変更したことで急成長を遂げていて、社長は実は幼少時代の幼馴染でわたしの情熱にほれ込んで入社できた。

バイヤーの能力もなく、結局は社長の奥さんから引き継いだ事務の仕事をしていた。

実店舗だけでなく、ネットショップもオープンしているため、仮想空間とはいえ、その店長には抜擢され、それなりに実力を発揮していたところだった。

おかげで彼氏なんかはいなくて、彼氏よりも当然仕事のほうが大切だって思ってやってきた。

実力はついたけれど、男性に対しての実力はないに等しい。

２６年も何やってんの、と同級生たちに言われるけれど、今の仕事が楽しいから、それでいいっていう聞こえのいい理由ばっかり並べていた。

最近になってこういう生活もわびしくなってきたな、としみじみ思うようになったわけだが。
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