恋するLilyは嘘をつく。







ドサッ








その時、私の隣に勢いよく誰かが座った。










「はぁ……はぁ……。
お前さぁ…メールしてくんの遅すぎるし、10分ぐらい…待てよな……。はぁ…。疲れたーー。」









聴こえてきたのは、息を切らしながら話す愛しい人の声。











その瞬間、堪えていた涙が流れ落ちた。








私はまっすぐ前を向いて話だした。





『…ごめんなさい。
ごめんなさい、野崎くん。ずっと言えなくて、騙してて…。私、嫌われたくなくて。日曜日だけでも一緒にいたくて!
そんな自分勝手な理由で嘘ついてた。』





野崎くんは黙っている。





『2年前のあの日から、ただただ私は野崎くんが好きで、ただそれだけだったのに!こんな、傷つけるようなことをしてしまって……本当にごめんなさい!』




謝って許してもらえることじゃない。
でも、今の私にできることはこれしか見当たらないんだ。









しばらくして、野崎くんが口を開いた。


「俺も……ごめん。毎日、無視してたこと。別に嫌だったわけじゃないんだ。
名波が俺の態度に落ち込んだりしてたのはずっとわかってた。けど、こんな人気者がなんで俺にって。どうしても信じられなくて。」




そう…だったんだ。

てっきり、嫌われてるんだと思ってた。





「本屋で会ったあの日は、自分でもびっくりするぐらい無意識に体が動いてた。
笑顔に、仕草にいっきに惹かれていった。

それぐらいの時に妙に名波にもドキドキしだして、なんか自分がわけわかんなくなってさ。それが同じ匂いの香水のせいだって思い込んで。」






あのローズの香水はそういうことだったんだ。






「いつもぶっきらぼうな言い方しかできなくて、いろいろ誤解させてたよな。
映画の日だって、その次の日だって、もっと言い方あったのに。」









『あ、あれは、全部私が悪いの!聞かれたことにちゃんと答えられなくて、傷つけたのは私。怒って当たり前だよ。』










「あん時の俺、怖かったよな(笑)」





『え、うん。かなりね……。』









「正直だな(笑)
まぁ、全部わかってすっきりしたわ!」




『野崎くん……本当にごめんなさい。
謝っても謝りきれない。』


深く頭を下げた。








「もう、いいからさ!
俺が1番聞きたいこと、聞いていい?」





『…うん。』






今度は何を聞かれても正直に答えるんだ。



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