跡にも咲にも




それはそれは端正なお顔立ちでございます。


きれいな鼻筋に、整った顔。


目は切れ長で漆黒の目が何とも言えない。


健康的な唇は本当に目がくらんでしまう。



この人が私の愛する旦那さん、三木廉(みきれん)くんです。


私はむふふと笑って朝一番の彼を堪能した。


もうすぐ起きる時間なのでそんなに長い時間見てはいられない。


少し惜しい気持ちを押し込めて私は廉くんの耳元に近づいた。



「廉くーん、朝だよー。起きてー」


いつものように声をかけるが、少しだけ動いて再び寝息を立て始める。



「廉くーん、起きないと遅刻しちゃうよー」



これにも反応はない。



「廉くーん、起きないと…ちゅーするよ」


その瞬間彼はパチッと目を開けた。


そしてすぐ横にいる私を見る。


「おはよ、廉くん」


にこにこしながら朝の挨拶をすると彼はもう一度目を閉じた


「…そんなにニコニコされると気持ち悪い」と悪態とつく。
< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop