my sweet devil



「あちゃー」


すぐ近くで朝陽の声がする。


「さすが平岡。やること違うわ」


「ううううるさい!」



朝陽のバカ!


転びはしなかったもん、スカしただけだもん……!



「よくこんなデカいボール空振りできるな」


「むっ…!」


「朝陽。イジメすぎ」



杉浦くんが走ってきて、朝陽を睨み付けると



朝陽はニヤリと笑って走っていった。



「大丈夫?」


「あ、うん…空振りしただけだし…」


は、恥ずかしい……


本当に、朝陽の言う通り。


遠くからサッカーボールを見てみると、どうやって空振りするんだろう?ってくらい大きい。



「うぅ…」


「大丈夫だよ。可愛かったから」


「うっ…」


よくもそんなに甘い言葉を軽く言えるな。


あっちゃんは、絶対言ってくれないだろうな……


そう思って、桜の木に目を向ける。


………嫌でも、目に入ってしまった。


屋上に佇む二人の姿。


一瞬、目が合った気がしたけど


たぶん気のせいだ。


あっちゃんは隣に座る岡田さんに笑顔を見せると、立ち上がる。


すぐにあっちゃんの姿は見えなくなって、替わりにあっちゃんを追う岡田さんの後ろ姿が見えた。


授業サボって、二人で何してるの……?


胸が痛い。


ねぇ、あっちゃん。覚えてる?


私はあの桜の木の下で




出会ったあっちゃんに恋をしてるよ。


こんなにも。



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