【壁ドン企画】 わがままな彼の甘い罠


彼は多分……私が、理解し合えないとか言った事を、ちょっと怒ってる。
無表情ではあるけど……多分。

「あ……私、は……会社で――」

色々丸め込まれた感じはしながらももう何も考えられない頭にさせられ、そのまま復唱すると。
彼はこめかみのあたりに唇を押し付けながら言う。

「〝だって、も、もう言いません〟」
「……言い、ません」
「〝会社でおでこ出しません〟」
「……出しません」
「一緒に住む?」
「住む……えっ?」

驚いて見ると、相変わらず無表情のままこちらを見る彼と目が合って。
もう一度聞かれる。

「一緒に住んでくれる?」
「住……? う……うん?」
「決定ね」

おでこから始まり、色々と諸々と未だに処理できていない頭。
困惑しすぎて何から片付けたらいいのか分からずただ戸惑っている私に。

「家でだったらとびきり優しくしてあげる」

彼はわずかに微笑みながらそう言った。

ただ、社内で人並みに優しくされたいと願っただけなのに。
なんでだか同棲が決まってしまって。

教育するはずが逆にされてる事に私が気が付くのは……彼がてきぱきとアパート契約を済ませた後だった。

社内恋愛よりも甘い響きの同棲に、今度こそ無事胸やけできたのは、また別のお話。










END
< 8 / 8 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:110

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
白川柚希 老舗旅館〝白川楼〟のひとり娘 有沢悠介 有沢グループ御曹司 強制的に結婚させようとする実家から逃げるために地元から離れた柚希。 失踪から三年後、結婚相談所に入ろうとしていた柚希を呼び止めたのは、三年ぶりに会った悠介だった。 お互いの都合のよさから契約結婚をし、かりそめの夫婦となったものの、ぶっきらぼうな態度の裏にいつでも優しさを隠し持つ悠介に気付き、柚希はどんどん惹かれていく。 「誰かにおまえが傷つけられたら、それがどれだけ俺にプラスに働こうと〝結果的によかった〟とは思えないし、もしもおまえが俺の前から消えたら見つけ出すまで探し回る。今度は世界中だ」 三年間、ずっと探してくれていた悠介にすぐにでも想いを返したいのに、追ってきた母親やスキャンダルのせいでちっとも噛み合わず、それでも日々大きくなる恋心に我慢できなくなった柚希は──。 ◇◇ 猛獣レベルの初恋を胸に抑えきれなくなった柚希と、俺様でいたいのに、溢れる想いにそうも言ってられなくなる悠介のラブストーリー。 ◇◇ ※ 2022年12月10日発売、ベリーズ文庫のサンプルとなります。
高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―
pinori/著

総文字数/116,025

恋愛(キケン・ダーク)213ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
高坂美波 上条智司 過去の恋愛が邪魔をしてなかなか恋に踏み出せずにいた美波は酔った勢いを借り、上条と一夜を過ごす。 「上条さんが私に特別な好意を持ってくれていないことはわかってます。振り向いてくれる可能性がないことも、ちゃんとわかってます。その上で、諦めたくないんです」 その夜だけで終わらせたくはないと高々と宣言したはいいものの、上条から想いをほのめかされるたびに、距離を縮めるたびに、自分の中に違和感が浮かび始める。 「おまえの過去の恋愛話は聞きたくない」 「俺からは触れないっていうのも、案外厄介だな」 嬉しいのに。 ちゃんと好きなのに。 過去の恋愛でできた傷は、もう克服したはずなのに……近付くのを怖がる自分に気付いてしまった。 「おまえはたぶん、安心して片思いできる相手だったら誰でもよかったんだろ」 上条の冷たい眼差しに、すぐに返事ができなかった美波の答えは――。 2022.2.4 start 2022.5.11 end
赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
  • 書籍化作品
[原題]許嫁御曹司が秘めた、執着的溺愛
pinori/著

総文字数/136,193

恋愛(純愛)248ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
桧山美織(22) miori hiyama 桧山匡(30) hajime hiyama 『匡くん、大好き。大きくなったら私と結婚してくれる?』 私がそうプロポーズしたのは六歳の頃。 あの頃からずっと、私は匡さんだけが好きで、もちろん今だって大好きだ。 そんな相手と結婚できた私はもう十分幸せなんだし、匡さんからの愛情まで求めたら罰があたる。 結婚してからずっと、そう思って自分を律してきたのに。 「心配しなくても離すつもりはない」 「強引にして悪かった」 匡さんがたまに見せる優しさに、心が欲張りになる。 2022.4.7 完結公開

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop