愛とか恋とか嫁だとか。
オレンジジュースの染み付いたタオルを洗って、洗濯機に入れる。


ついでに、よく見るとジュースがはねているピンク色のカットソーも脱がせて洗濯機へ運ぶ。


あのラグマットは丸洗い出来るんだろうか……品質表示のタグを見なくちゃ、と思いながら、さっきの汚れ物と合わせて本日2回目の洗濯機を回す。


窓の外は、5月の強い太陽が頼もしく照っていて、この洗濯物もあっという間に乾くだろう、という予想があたしの心をほんのり明るくする。


「ママ、えっと……ごめんね」


あたしの感情が柔らかくなったことを敏感に察知した咲子が駆け寄ってくる。


甘くて暖かいお日様の匂いのするその身体をぎゅっと抱き締めると、ささくれだった心が落ち着くのを感じた。
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