キミには言えない秘密の残業
結果的にあたしは目の当たりにして一番きつい形で別れることになってしまったけど。でも、須永はちゃんと自分から別れを言い出すことが出来たんだ。



「俺、すごい一途ですよ。好きになったらその人しか見えないし、大事にします。だから本郷さんのこと好きになっても、いや愛してもいいですか?」



隣にいたはずの須永が気がつくとまたあたしの目の前にいて両手を壁につき、囲んでいる。須永には本当敵わない。


あたしのほうが好きなのにまさか愛してもいいなんて言われるなんて。



「あたしも好きになったら一途だし、その人しか見えないよ。あたしも須永を愛してもいいの?」



「愛してください。俺を癒して」



頷く代わりにそっと目を閉じると一瞬、重なった唇。明日は休み。買ってきたお弁当とデザートを食べてパソコンを切って朝まで一緒にいよう。


今まで傷ついた分、あたしが須永を癒すよ。手を差し伸べられ、立ち上がったあたしの耳元でそっと須永が囁いた。



「これからもたまには二人で残業しましょうね」
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