鈴が咲く【前編】
事の始まり



放課後





「よし、行くぞ?」

「...う、うん...」


この教室から一歩出れば、
みんなが話しかけてくるだろう。

少し怖がるふりをして足をすくませる。


「大丈夫やで、咲希ちゃん。」

「そうそう!
今日は午前中で学校が終わったんだから、
まだ集まってないって!」

「うん...」



翔たちが周りに集まる。

ガララ...

「っ...?
あ..あれ...?」

覚悟を決めて前を向くと。

「いない...?」

いつも廊下にいる男の子たちがいない。



帰ってる人はいても、
こっちを向こうとしない。

「....」

怪訝そうな顔をして、

眉間にしわを寄せていた翔が、
勢いよく歩き出した。

「!?」

「行くぞ。来ないんだったら好都合だ。」

そのまま靴箱まで来ると、

「関石!遠山!」

数学担当の先生が二人を呼びとめた。




…?


あ、そういえば今日って…

「お前ら二人は前回のテストが悪すぎる!
今日一日は、補習だぞ!?」


やっぱり…
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