鈴が咲く【前編】

夏

あれから三日。


寮に戻った私達二人は、
みんなと予定していた
『海に遊びに行く』と『キャンプ』を
同時に叶えるべく、
聖林の別荘に遊びに来ていた。



翔には先に行ってもらっていた。










「ここだよ」

余り人目につかない森の中を進んだ先。

着いた場所は相変わらず綺麗で、
パッと見ただの別荘だ。

「今来た方と逆に歩いていけば
近道を通って三分くらいで海に出れるよ」


そう言って、
別荘の階段を登ろうと近づくと。


「「っ…うっひょおおぉ！(うわあぁ！)」」


一瞬呆然とした光輝と康平は
すぐに叫びだして別荘へと
私を追い抜いて駆け出していった。


「…はぁ」

ため息をつきながらも
こっちに歩いてくる龍也。

「見てるだけで疲れる…」

「まあまあ。元気でいいじゃん？」

そういいながら笑う。

「ん。」

そう返事をしながら私の手にあった荷物を
サラッととって、
何事もなかったかのように
歩いていく龍也。

「！
ありがと」

「別に」

結構重たいはずなのに、
自分の荷物と一緒に軽々と持って歩いていく。


「咲〜龍也〜！」

「あ、は〜い！」



翔の声が聞こえて、
二人共、少し早足になった。