また、きみの隣で
「っえ、食べるのはや」
「俺もお腹空いてた」
彼は満足そうにパンを頬張っている。
あたしはゆっくりパンを味わって、パンが入っていたビニールを袋に入れた。
「岩淵くん」
「ん?」
星を見ていた彼は、あたしに呼ばれて顔をこちらに向けた。
「またどこかに連れて行ってください」
「…え、あ、はい」
そう答えた岩淵くんは、面喰らった様にぽかんと口を開けたので、なんだかおかしくて笑ってしまった。
「っちょ、だって、急に敬語使ってくるから、俺もつられて敬語になっちゃったじゃん…!」
岩淵くんも同じ様に笑った。
彼となら、きっと大丈夫。やっぱり根拠はないけれど、そう思った。
空では、リンと名づけられた星が零れる様に流れ、光る街の向こう側へ消えていった。
【星空トライアングル】END