永遠の果て
 私立桜木高等学校。
 その文字に、懐かしさと、苦しさが胸を侵食してゆく。

「はい」
 生徒手帳を結衣ちゃんに返した。
 結衣ちゃんの通っている高校、それはまさしく、私の母校だった。

「おばさん、だめ?」
 結衣ちゃんが上目遣いでこちらを見つめる。

「あっ! おばさんの担任だった石川先生だってまだ桜木高にいるよ」
 あまりの必死の説得に、苦笑する。
 高校なんて行ったら、きっと想いが詰まりすぎて、体が拒絶してしまうかもしれない。

 でも、可愛い姪っ子のために、こんな情けない理由で断れるはずもなかった。

「わかった。じゃあ行こっか」

 キラキラの瞳が、いつにも増してキラキラと笑った。
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