永遠の果て
 490円の切符を買い、改札を通る。心は進むことへの躊躇いがあるのに、体はどんどんと進んでゆく。
 体が言うことをきかない。ちがう。本能で動いている。と言ったほうが正しいのかもしれない。

 思ったほど、プラットフォームに人はいなかった。通過電車が運んできた風が、少し肌寒く感じる。

―間もなく2番線に、急行が参ります。

 スピーカーから流れるアナウンスを耳にすると、携帯電話についてるクマのストラップを、今度は強く握る。

 真っ赤な急行列車が、ゆっくりとプラットフォームに入ってきた。
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