好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
「……昨日、デートだったんじゃねぇの?」

課長は視線だけ私に向けて、昨日同様、興味があるのかないのかよく分からない様子で、私にそう尋ねた。


「そう、ですけど」

私も一瞬だけ課長の方を見て、でもすぐにコーヒーに視線を戻した、再びぐるぐるとスプーンを動かす。


「課長。コーヒー」

「ケンカでもしたのかよ」

「……コーヒー」

「何年付き合ってんの?」

コーヒーを受け取って、でもそれに口をつけることなく、課長は私に質問した。……意外に恋バナが好きなのだろうか。


「……ケンカ、はしてないですけど」

「ふぅん」

「あと、付き合ってからは七年目……ですかね」

「長いな」

「……」

ああダメだ。課長が悪いわけじゃないけど、今この話題は気分が重くなる。どうしても楽しく恋バナができる気分じゃない。
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