記憶と共に幽霊と。
夕飯のビーフシチュー
女の子の体は、徐々に透けていき、最後には消えてなくなった。
「何度やっても慣れないな。これは」
口元に付いた血を拭いながら呟く、明。
これ、とは吸血行為のことだと思う。
明が血を吸うことで生命力を吸収し、悪霊に半強制的に成仏してもらう。
私にはできないこと。
「だから、私がやろっかって聞いたんじゃん。嫌ならいつでも変わるって」
ひかりが肩をすくめながら言う。
ひかりも、明と似たようなことができる。
だから二人で協力してやっている。
「ひかりにやらせたくない。本当は全部自分がやりたいぐらいなのに…」
気だるげにしながら呟く明。
二人とも相手に負担をかけたくないと思っているようだ。
「ね…ねぇ。今日はもう帰ろう?明日、また来ればいいじゃん」
二人の話が長引きそうだったのでぶち切る。
二人も賛同してくれて、今日はこれで解散になった。
< 45 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop