悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「私はひよりの意志を尊重したいと思ってる。だから、今度からはちゃんと相談してね?」

「はい」


素直に頷くと、お母さんはケーキを冷蔵庫にしまいながら、スッキリした表情でこんなことを口にする。


「ひよりも自分の未来は自分で切り開いていける歳になったのよねぇ……。お父さんもあまり口出しし過ぎないようにしてもらわないと。進路のことも、好きな人のことも、ね」


意味ありげな視線をあたしに向け、にんまりと笑う。

うっ。これはたぶん、あたしが柳のことを好きだって気付かれてるな……。

あははと笑ってごまかしながら、「あ、あたし着替えなきゃ~」と言って、そそくさとダイニングを後にした。



きっともう、お父さんもそこまで固執しないだろうから、あたしも普通に柳と会えるだろう。

でも、キス未遂なんて事態になっちゃったんだから、会えばぎこちなくなりそうだし、いつまでも気持ちを隠し通すことなんて出来そうにない。


だから、もう決めた。

テストもフライヤー作りも終わって落ち着いたら、柳にちゃんと“好き”って伝えよう──。




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