悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「よぉ、久しぶり」

「お久しぶりです、大崎くん!」


真っ先に返すリカに続き、あたしと亜美も挨拶した。

そして涼平くんも、あたし達に向かってあのキラキラスマイルを見せる。


「はじめまして! 柳のバンド仲間の涼平でーす」

「こ、こんにちは……!」


亜美はビクビクしながらも頭を下げて、頑張って話そうとしている。

たぶん、亜美なりになんとか打ち解けようとしてるんだよね。

柳の友達だし、何より涼平くんはいい人だし。この間の合コンみたいな不安はないから、あたしも安心して見ていられる。

むしろ、これからユアフールの皆と仲良くなってくれたらいいな。


そんなふうに思いながら眺めていると、一瞬涼平くんがあたしに意味ありげな視線を送り、にこりと笑う。


「よろしくね」

「あ、うん……!」


そうだ、リカにはあたしが抜け駆けして先にバンドを見ちゃったことは内緒にしてあるんだった。

柳から皆に伝えておいてもらってるはずだけど、私が会うのも今日が初めてだってことにしなきゃ。

……ま、今のリカは柳に夢中になってるから、あたしなんかのことは気にも留めないだろうけど。

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