課長が私に恋してる?


いまアナタの隣にいますけどね!
というツッコミは心の中だけにとどめる。



さすがに上司とそんな関係になってるなんて同じ職場の二人には言えないよねえ…と一人頭を抱える。



「まあ、あたしもそんなことしてる人見たことないですけど。朝の特集でやってたんですよ。あたしもこの前別れちゃったし、そろそろ清純なお付き合いに戻ろうかなあーなんて」



はは、と死んだ目で語る十和は実はこの前まで不倫をしていた。
本人もその相手も遊びだと割り切っているように見えたけれど、お互い本気になりそうになって別れたと言っていた。



でも本気になりそうだから別れるなんてなかなか出来ない決断だよね、なんて思ってしまう。
不倫はいけないと思うけれど、わざわざ分かりきっている忠告なんて彼女には必要なかったろう、とも。



「十和ちゃん…」



しんみりしていると、十和はああそういうのやめてください、と笑う。



「まあそういうわけなんで来週末でも合コン、しませんか先輩方?」



にやっと笑って悪い顔をした十和に、あまりに相変わらずすぎて明日香と顔を見合わせてため息を吐いた。
清純なお付き合いとやらはどうやら合コンにも落ちているらしい。



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