課長が私に恋してる?



「課長からあんなふうに言われたの、初めてだったので」



「……なんか、言ったけな」



そう惚けられてもそれが照れ隠しだと分かるくらいには付き合いを深めてきたと思う。
ふ、と笑って、大きな背中に話を続ける。



「我が課の主戦力だって」



「………ああ、それか」



涼やかな返事はそれだけで彼が琴子をもう認めてくれているのだと分かるくらいだった。
それくらい、穏やかで優しい声音に琴子も目を細めた。



「私、役に立ててますか?あれから、少しは使えるようになりましたか?」



わざわざ聞くことではないかもしれない。
でも、願わくばその口から。琴子が誰よりも認められたいと願った如月自身の口で言って欲しいと望んでしまう。



「お前な、主戦力って言ってんだからそれくらい分かれ」



呆れたような声にもなんだか嬉しくなってしまって、えいえいと服の裾をますます引っ張る。



「かちょー、ちゃんと言ってくださいってばー!
ほらほら、高遠がいなきゃ経理課は回らないって!さあ、さあ!!」



「別に経理課は俺さえいれば回るが」



「な、なんだとー!」



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