«過去アリ少女と訳アリ集団»
─ガチャッ。
「─言いたいことは、言わなきゃ伝わらないぞ」
「珊!時雨も!」
「ごめんね、もう少し傍観してようかと思ってたけど…何か色々詰んでるっぽいからって珊がね」
さっきから見当たらないと思ってたら傍観してたのかよ。全く…。
「…で?どういう意味だよそれ」
さっきの言葉は恐らくあの女に向けて言ったものだろう。
にしても言う相手が違うっていうか…。
すると珊はガサゴソ棚から何かを取り出し、女の前につきだした。
あれは…スケッチブックと…ネームペン?
珊の行動を不思議に思っていると、珊はおもむろに口を開き、言った。
「…そして、伝える手段は口だけではないということ」
ふっと微笑したのもつかの間、再びいつもの無表情に戻り、そのまま背を向け生徒会室を出て行ってしまった。
「ま、そうゆうこと。ちゃんと連れ戻してこいよ?」
焦りすぎんなよとアドバイスを残し、珊の後を追って行った時雨を目で送り、再び視線を戻す。