禁じられた放課後
自分の生徒。
そんな親近感に誘われたのだろう。
女子高生は瞬きを二回して直哉を見上げた。
一呼吸、いや、
二呼吸あいたかもしれない。
「……星占い」
その瞳があまりにも純粋で真っ直ぐで、直哉は思わず視線を逸らした。
喉の奥がざわつく。
吊り革を持つ左手を右手に換える。
落ち着かない胸の鼓動。
もう何年も感じていなかったような感覚に、直哉は深く動揺していた。
「あー。僕さ、実を言うと今日から君の先生なんだ。桜台高校に赴任して来た吉原。……よろしく」
突然の自己紹介に驚いたのは女子高生よりも直哉の方。
一体自分は何を考えてこんな所で名前を伝えてるんだろう。
いや、何か言葉を発しなければ想像にも無かったこの動揺を抑え切れなかったのかもしれない。
「はい。よろしくお願いします、先生」
女子高生は静かに笑ってそう言った。