禁じられた放課後



もうずいぶん長い間、直哉の部屋には行っていないような気がしてしまう。

流星群の下で寄り添った感触もまだその身体全体に残っているというのに、涼香は今までにも増して直哉を求めてしまいそうになる自分の感情に戸惑っていた。



一人で想い続けるだけで満足だったはずの恋心。

気がつけばそれが、どうしようもないくらい大きなものに変わってしまっていたのだ。




「この部分テストに出るから、しっかりチェックしておけよー」



目の前の教壇に立つ山根の姿も、秘めた気持ちの後ろめたさから真直ぐに見ることもできない。

放課後になれば山根からすぐに帰るように促される毎日。

梅雨明けが発表されたと言うのに、涼香の中にはまだ沈む雲がいくつも重なりを見せてた。



頬杖をついて眺める窓の外の景色でさえ、透けるようなブルーが目障りに思えてしまう。

涼香は自分の想いが陽の当たる場所で堂々とできるものではないことを、思い知らされるように窓から目を伏せるのだった。




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