先生の手が触れる時

「はい」

コーヒーを差し出され、受け取ったわたしは先生の横に腰かける

「なんか、久しぶりだな」
「はい。昨日は弟が来てて」
「弟?」

先生が驚いたようにわたしを見る

「はい、2番目のお母さんの連れ子です」
「…なるほど。そうなんだ」

先生は少し気まずそうに頭をかく

「……父、真面目そうに見えるでしょう」
「え?……あぁ、そうだな」
「全然ですよ。もうバツ2ですし…」

私は、言いながら父親を思い出す
父から離れてもう大分経つが
普通の親子のように寂しいとか会いたいとか思わない私は

やはり少しおかしいのかもしれない

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