先生の手が触れる時

帰り道はお互いあまり話はしなかった

たまにポツリ、ポツリとくだらないことを話してまた二人とも黙りこむ

「…………」

どうしよう。
どのタイミングで切り出せば良いんだろう

私がそんなことを考えていると突然、晴夏が立ち止まった

驚いて振り返ると晴夏が口を開く

「……凪、話したいことがあるんだろ?」
「………っ!」

思わず固まると、晴夏は優しく笑った

「そこの公園のベンチに座ろう」
「………うん」

なんとか頷いて、晴夏とベンチに腰かける

しばらくの沈黙のあと、私は意を決して晴夏の方を見た

「……あの、晴夏…」
「ん?」
「………告白の、返事なんだけど…」

そう言葉を紡ぐと、晴夏は分かってるよ、という風に頷く

その表情はとても真剣で、私も負けないぐらいまっすぐ晴夏を見つめる
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