先生の手が触れる時

「………俺は……なんてことを……」

小さくうずくまる父を見て、一筋涙が落ちた

そんな私たちをずっと黙って見てた先生がそっと父に近づく

「死ぬなんて、思わないでください…あんたは生きて、その罪を一生背負うんだ…警察にも言うつもりはない……」
「どうして…」
「どんなに内密にしたって…マスコミが食いつかないわけがないだろう…それで一番辛くなるのは……凪だ」
「先生…」

私が呟くと、先生は私の方を向いて優しく困ったように笑う

私の、大好きな笑顔だ…

「…あ…あぁ…あああああああっ!!!」

その瞬間、父が声をあげた

それはとても悲痛で思わず耳を塞いでしまいたくなる

そんな私の手を先生はぎゅっと固く握りしめてくれた



ねぇ、先生

私は、何度この手に助けられてきたんだろう
何度この手に勇気づけられてきたんだろう

ずっと暗闇にいた私を助けてくれたのは先生だった。


私はそっと目を閉じて

先生の手を強く握り返した


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