先生の手が触れる時

「…じゃあ、ありがとうございました」
「あ…あぁ、いえ。お大事に」

俺は一緒に保健室から出ると

その二人の後ろ姿をしばらく見つめ、美術室に向かうため反対側に歩いていく


この時、もう少し

遅く美術室に向かっていたら

もう少し

彼女の震える心に気づけていたら

こちらを振り向いた彼女の瞳に

気づけていたら

彼女が傷つくことは

無かったのかもしれない


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