【壁ドン企画】傍にいさせて
「サイトウ君に誓って?」

友人がさらに腕を伸ばしたようで、僕は男の胸に押し付けられる。

顔がつぶれる・・・

「さ、サイトウ君?こいつ?」

あのね、散々僕と友人の家に来ておいて、僕の名前も知らなかったの?

まあ、友人からも紹介されなかったから、仕方ないかもしれないけれど。

男はごっつい手で僕の力の入らない手を摘む。

汚いもの触るみたいにするな!

「ぬいぐるみに名前付けてるのって、子どもっぽいと思うけど」

「でも、大事にしてるんだろ?でかいカエルのぬいぐるみ」

おや、思ったより話のわかる男じゃないか。

男は僕の頭をひと撫でして、友人の手から僕を抱き上げる。

そして、思ったより優しく床におろされる。

友人はすぐにポイっと僕を放り投げるのに、なかなかいいやつじゃないか。

今まで友人は他の人には絶対に僕のことを触らせなかったのに、一線越えましたね。

男は改めて僕が叩きつけられた壁に肘をついて、僕のいなくなった分以上に友人との距離を縮める。

「サイトウ君にも誓う」

結婚式のような言葉に、なにやら恥ずかしくなったが、僕の大きな目は目蓋を持たず、目を伏せることもできない。

誓いのキスだけじゃなくなってきた二人を横に僕は冷たい床にコロンと倒れた。

このくらい動くのは許されるだろう。

友人は腹のワタがよじれるくらいきつく抱きついたり、体重をかけてのしかかったり、遠慮なくボスボス腹を殴ってストレス発散したりする。

ちなみに、お前からのストレスもこのふんわりボディーにたっぷり叩き込まれましたよ。

扱いはかなり雑ですが、僕はけして反抗なんてしません。

できません。でも、それは愛ゆえに、です。

だから、もし彼と一緒に暮らすことになっても、ちゃんと連れて行ってくださいね?
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