すずめ日記
おかしいと思うことは大人であろうと、はっきりと最後まで引き下がらない性格で立場の弱い子に対してはスゴく優しい。


幸子はそんな子だった。


そんな幸子が、暗く沈んだ表情をしているのに気づいたのは、運動会間近の学年全体の練習の後。



運動会の花形種目、運動会のラストを飾る六年生のクラス対抗全員リレー。


「幸子、どないしたんや?えらい暗い顔して」



「なぁ~先生、抜いてええんかな?」


「抜いてええかって?リレーのことか?」



「うん、うちのクラスのリレーって、アンカーの2人手前でアタシの番やんか……。
んでな、アタシのところで5組の芳樹を抜くやん……。

なぁ~アタシ、芳樹のこと……抜いてもええんかな?」


5組の芳樹くんは、障害を持っている。

小児麻痺で、足が不自由で走るのも遅い。


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