クールなお医者様のギャップに溶けてます
先生は今も何も言わない。
私の視線にも気付かない。

これはさすがの私もお手上げだ。
ふぅ、と小さく息を吐き、顔をダンディー父に向ける。

「私、仕事がありますので、申し訳ないですが、これで失礼しても良いですか?」

「あぁ。亜樹さんは頭の良い方だな。仕事頑張りなさい。」

「はい。失礼します。お茶、ご馳走様でした。」

すっと立ち上がり玄関へ向かう。

先生が追いかけて来てくれたけど、家族でちゃんと話をして、と伝えて私は一人神野家をあとにした。

私、やれば出来るじゃん。
自分を褒めてあげる。
私は何も悪くない。ただ、居場所を間違えただけ。

なんか悔しいけど、私は元々、先生の隣に立てる人間ではなかったんだ。

はなから受け入れてもらえない所に入っていける程、私は強くないし、バカでもない。

今日が当直で良かった。
こんな顔、家族に見せられないもん。

しばらく歩いてから、スマートフォンのアプリを起動して駅までの道を検索する。

遠いけど、当直の時間まではまだまだある。

気分転換に駅まで歩こう。

そして、少し気持ちが落ち着いて頭が冷静さを取り戻したきた時、ある人に電話を掛ける。
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