碧い人魚の海
 厩に馬は4頭いた。馬が舞台に立つことはない。みんな馬車を引くために用意されている馬だ。馬はロクサムにも懐いていたが、最初はルビーのことを警戒していて、からかったり意地悪をしてきたりした。髪の毛を引っ張ったり、突然鼻面を伸ばしてきて、ルビーだけに通せんぼしたりする。
 けれどもしばらくしたら馴染んで、ふさふさしたたてがみをルビーに撫でさせてくれるぐらいにはなった。



 ロクサムと話をしているとき、ついルビーがロクサムの顔のすぐ近くに顔を寄せて覗き込みながら笑いかけようとすると、ロクサムは怒ったような顔をしてそっぽを向く。
 でもルビーの方は、なんとなくロクサムの顔を覗き込みたくなってしまうのだ。
 そのたびにそっぽを向かれるので、うっとうしいと思われているのかな、と、ちょっと気になった。

 以前ブランコ乗りが自分に対してしていたような態度を、ルビーはロクサムに取っているのかもしれない。
 意味もなく彼を見たり、意味もなく笑いかけたりしていて、自分でも変だと思う。
 でも、ルビーはロクサムに笑い返してほしいだけなのだ。

 ルビーが水槽に閉じ込められた日みたいに、ロクサムはあからさまにルビーを拒否するような態度を見せることはない。でも、ルビーが人魚だったときと比べて、なんだか距離ができたような気がする。

 でもきょうは、ゾウの世話を手伝わせてくれるとロクサムが言ったから、いつになくルビーはうきうきしている。
< 177 / 177 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

GOING UNDER(ゴーイングアンダー)

総文字数/80,774

恋愛(純愛)90ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
美奈子と琴子は同級生で、家も隣同士。 保育士になる夢をあきらめ、母親の意のままに医師を目指す決意をする琴子。 親に逆らわない琴子をはがゆく思いながらも、そばで励まし見守る美奈子。 友情以上恋愛未満な2人 キスまでの関係を描いたシリアス・ガールズラブ (自サイト及び「小説家になろう」さんにも置いています)
Anywhere but Home(エニウェア バット ホーム)

総文字数/1,686

恋愛(キケン・ダーク)2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
高校2年の夏、最悪の破局を迎えた2人。 終わったはずの恋を取り戻すためには、自らの過ちと向き合う覚悟が必要だった。 ※2014年12月21日スタート 見切り発進です 書きながらupしていきますので改稿の可能性があります

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop