俺様系後輩からは逃げられない?!
好きになってくれるの?





私、日向 小春は絶対に逃げてみせる!




そう、あの俺様系甘党男子の
天原純からね!










あの日から何日かが経った





時々、天原純のことは見かけるけど

校舎も違うから
すれ違うことはほぼない







放課後になり

私は親友の茉実とクレープを買って帰ることに




「今日は何クレープ食べよ〜?」

「私チョコバナナにする!」

「決めるの早!」



とりあえずお腹空いてるし
何でもいけるだろうな〜
いざとなったら私もチョコバナナに
しよっと!



「ところでさ〜純ちゃんとはどうなったの?」








…出た、あいつの話




「どうもこうも…今のところ平和だね、昼も来ないし」




そういえばお弁当の約束してたけど
結局あいつ来なくて
せっかく作ってきたのに
無駄になっちゃった





だからそれ以来作ってないけど





「なーんだ!面白いことになればよかったのに〜」


「ならないよ」


「でもさ〜あんだけ女子に笑顔ふりまいてるんだから、やっぱり裏の顔とかあるのかね〜」





そっか

茉実は知らないんだった

天原純の素顔









…でも本当は



俺様気取ってるけど

可愛いとかじゃない
真面目な顔や男の顔もあったし…






結局、悪い奴って訳では……






「いや、案外、裏とかないかもよ」


「まぁ、純ちゃんの裏の話聞いたことないからね〜」









…私は知ってるけど





てか、他の子にバレてないなら
私にも隠し通してほしかった!





…あ、でも私が覗き見したのが
問題だったから…うーん












…ん?




てことは、もしかしたら他にも
天原純の素顔を見た人はいるのかも!




ただ、天原純が私にもしてるように
他の人も言いなりにさせてるのかも!







だから最近、私の前に現れないのかな?




他の人のところに行ってるのかな?









……って、






何あいつのことばっかり
考えてるんだろ、私




天原純のいないところまで
あいつのこと考えてるなんて…






クレープ屋が見えてきた





でも私は冷静になるために



「茉実ごめん、先買っといてくれない?後でお金渡すし…私もチョコバナナで!」


「え、ちょ、小春?!どこ行くのよ!」


「ちょっとお手洗い行ってくる」




私は頭を冷やしに行った









天原純みたいな
自分勝手な奴なんて忘れよう!




今は楽しいこと考えなきゃ!




第一、誰かのこと考えるんだったら
私の好きな肇先輩のことでしょ!








…よし!





私はクレープ屋の近くにあったコンビニのトイレから出て、クレープ屋へ向かった







「小春せーんぱーい!」










………ん?








…今のは天原純の声に似てたけど
気のせいかな??





「小春先輩ってば〜」





私は声のする方へ恐る恐る向いた






そこには天原純が
両手にクレープを持って手を挙げている


こっちに向かってきた



「先輩!はい、クレープどうぞ」


「え、いやこれは私のじゃ…」


「いえ、先輩のですよ?僕、お友達さんに渡しといてって頼まれたんです!」





…ま


茉実〜〜〜〜!!!




…まぁどうせ天原純が頼んで
先に帰されたんだろうけど…






「……ありがとう」



私は天原純からクレープを受け取った


「どういたしまして!」





天原純は女子たちに向ける笑顔で言った












何日か前は
天原純から逃げることを考えていた




でも今はクレープを美味しそうに食べる天原純を見て、逃げようなんて考えられなかった





クレープ屋の目の前にある公園の
ベンチに2人座って食べる






「あ〜美味しかった!!」


「え、もう食べ終わったの?!」


「うん!」


「私もあとちょっとだから!」


「そんな急ぐなよ、味わってたべてよ」



…さっきまでの猫かぶりはどこへ行ったのやら…男言葉が混じっている




天原純は、私が食べ終わるのを静かに待っていてくれた







…今日の天原純、何か変




なんか調子狂う…



早く帰ってしまおう




「そろそろ帰ろ」

「そだね」



2人して歩き出す



私、あんなに嫌がってたけど…
今日の天原純は何か違う?




私は気になっていたことを聞いた



「純くんは、私の他に言いなりにさせてる人いるの?」


「え?」



私は天原純を見つめる



純は素直に


「いないよ、小春先輩だけ」

「え、でも…」




すると天原純は私が話している途中で


「そういえば先輩、ここ何日か俺に会えなくて寂しかった?」






…あれ?




さっきまでの天原純はどこへ…



てか人の話遮るなよ!!




「いや、むしろ平和だったよ」


「またまた〜そんなこと言って、俺のこと見てたでしょ?窓からとかね」








え?




「先輩が熱い視線送ってくるから…」


「…何のことだか分からないんだけど」





天原純が私の両腕を掴み
耳元に近づいて、小さな声で言った






「だから言ったじゃん、逃がさないって」





私は腕を振り払おうとした





その時、視界の隅で見覚えのある人影があった




私は思わずその方向を見た







そこには…










「…肇…先輩」






それを聞いた天原純は
肇先輩の方を見た







肇先輩もこっちを見ている







私はハッとして、
何とかして天原純から腕を振り払った








…今の…肇先輩に見られた?!





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