かすみ草の恋
11 今井 万里 前を向いて歩こう
好きで好きでたまらなかった橘は


山田弟を選んだ


多分、隣にいる山田も俺と同じ境遇だ



「はぁ」


俺が何度目かのため息を吐くと
ウザそうな顔して山田が俺を見上げた


「…もう!一体何回目??
あんただけが辛いと思ったら大間違い
だからね!
あんたはいいわよ!
充分ミカにアピールしてたし
ミカだって揺れに揺れてたと思うわよ?
あの子は昔っから私のせいで
恋愛には奥手で鈍感だったからレイジの事だって朝気がついたって言ってたし。
私はずっとミカを見てたからわかるけど
多分ミカは昔っからレイジが好きだったと思うわ。
だから私なるべくレイジとミカを2人きりにしないようにしてたの!
でも、あんたがミカを好きだと言い出したから、レイジの方が疎かになっちゃって。
このザマよ!!もう〜!!
ミカは私のせいで…
私のために……
アメリカに行っちゃうのよっ!
私がミカを愛しちゃったから!
レイジが説得しても無理よ…!
昔から他人のために自分を殺すんだもん
ミカは!
ミカ…ミカ…大好きなのにぃー
うわぁぁぁぁぁぁん」



山田が壊れた……



なんか俺もスッキリしたい



俺は山田を抱き締めて


啜り泣いた。



「…俺だって……
ずっと好きだった………
ミカ………」



ずっと呼びたいと思ってた名前



こんな所で呼ぶことになるとは



切なくて胸が張り裂けそうだ



山田は抱き締められた事に
初めはびっくりしてたけど


俺の様子を見て


俺の背中に手を回して



しばらくの間俺らは
抱きあったまま泣いた。


山田は微かに橘のニオイがした。



切なくて山田の身体を力を込めて
抱き締めた。



橘……

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