真実アイロニー【完結】


「保護者の仕事の都合らしく、来月中旬には新潟に」

「……新潟」



簡単に行ける距離じゃない。
新幹線で数時間はかかる。


だからか。

……だから、小早川はあんな事。



「報告が遅くなり申し訳ないと思う。
だが手続きが終わるまで、彼女本人に口止めされていてな…」

「いえ」

「無事に試験も通過したし、手続きも全て終わっている。
だから、後は引っ越し当日を待つだけだ」

「そうですか。今日本人と話してみます」

「そうしてくれ」


教頭先生は顔を俯かせると、


「早乙女先生の事は信頼してる様に見えたから…、残念だよ」


そう、ぽつりと呟いた。


「……ありがとうございます」



それ以上俺は何も言えなかった。
< 150 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop