真実アイロニー【完結】

ニコリともせずに、彼女は早口でそう言った。
じっと俺を見つめる瞳。


それは全てを拒んでいる様で。
そして、全てを諦めている様だった。



「…えっと、それじゃあ君が」


小早川さん?と続けようと思ってたのに、声に出さずに飲み込んだのは彼女がさっさと先に行ってしまったからだ。


宙を仰ぐ手の平。
唖然とする俺。

彼女の後ろ姿はもう見えない。


ポンっと後ろから肩を叩かれてハッと我に返った。


「おはようございます、早乙女先生」


後ろを振り向くと、そこにいたのは今日もヨレヨレの白衣を着た品川先生だった。
ぼーっと突っ立ってる俺を見て、不思議そうにしてる。


「あっ、えと、品川先生おはようございます」

「急がないと遅刻しますよ~」

「え、もうそんな時間?うわ!やっばい」


まだ二日目だし、余裕を持って到着したのに、時間が経つのは本当に早い。


慌てて職員室に入り、他の先生に挨拶をする。
笑顔で返事が戻って来るが、談笑までしてる時間はない。
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