幸せだって、笑ってよ。
スマホを見て、目を疑った。

そこにあったのは大好きだった人の名前。

記憶の隅に追いやっていた彼からのメールに、胸がキュンとなる。



『久しぶり。元気? 送別会、来るだろ? 会えるの楽しみにしてる。』



何でもない文章に、こんなにドキドキするのは何故だろう。

だいたい、もう二度と連絡を取らないつもりでいたのに、彼のメルアドを消さないでいたのは?

どこかで彼と繋がっていたいという思いが、私の中にはまだ残っているのかな。



忘れていたはずなのに、一瞬で思い出す。

私をからかう低い声、笑うとなくなる優しい瞳、大きな手、広い肩、それから、抱きしめられた時に感じた匂い、一度しか触れたことのない唇.......



会いたいと思う気持ちが顔を出し、頭の中が彼の思い出で一杯になる。

と同時に、今の自分の姿を思い浮かべ、ちょっぴり悲しい気持ちになって来る。
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