オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ

京夜side



年末年始は恒例のごとく仕事に追われ、漸く一息ついたのは1月下旬。

初めて彼女と過ごす年越しだというのに、

何もしてあげれない事に無性に腹が立った。

唯一、救いだと思うのは……、

彼女へクリスマスの贈り物が出来たという事。

今まで貢物は嫌というほど貰ってきたが、

誰かに贈り物をする事自体なかったから、正直悩んだりもした。


だが、彼女を手放した際に自己満足の域で彼女へ贈り物(ヘアピン)をしたのだが、

彼女はそれを今も大事にしてくれている。

大した額でもないモノをあんなにも大事にしてくれている事に心が熱くなる。

だから、彼女の喜ぶ顔が見たくて……、俺の事を少しでも感じていて欲しくて……。



男とは身勝手な生き物だと誰かが言ってたな。

フッ、この俺様も普通の男だったって事か。


好きな女の前だと、地位も名誉も関係ない。

ただ、独占したいという衝動に駆られるだけ。




節分商戦用の催事場を確認しながら、不意に彼女の手首に視線が留まる。

俺が彼女に贈った腕時計。

ピンクゴールドを基調とし、ふんだんにダイヤを散りばめた逸品。


彼女曰く、仕事着は戦闘服と同じと言うが、

例え秘書兼護衛用のビジネススーツであっても、

やはり普通のOLとは一味違う何かが欲しかった。



この俺が、唯一認めた『女』だから。


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