オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
母が結納の品を手にして、京夜様の前に静かに置いた。
「ご縁組みの印として、結納の品々を納めさせて頂きます。目録をお改めの上、幾久しくお納め下さい」
母がゆっくりと席に着くと、京夜様が目録を改める。
「幾久しくお受け致します。有難うございました」
いつもながらに少し低めの声が心地よい。
私なんて裏返るような声だったのに、
彼はいつもと何ら変わらない。
結納は初めてだとしても、
やっぱりこういう厳粛な雰囲気に場慣れしてるんだわ。
緊張している様子なんて微塵もないもの……。
さすが京夜様。
何でも完璧にこなす姿に惚れ直してしまった。
そんな風にうっとりと見惚れていると、
「ご子息のお父様、結びのご挨拶をお願い致します」
進行役のスタッフの声で我に返った。
京夜様のお父様の挨拶の後、
父も結びの挨拶をし、無事に結納の儀が執り行われた。
進行役のスタッフの声掛けで漸く安堵した瞬間だった。
その後、お茶を頂き、婚約披露パーティーの控え室へと移動する事に。
母親と共に席を立つと、
とても優しい笑みを浮かべる京夜様を視界に捉えた。