オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


自嘲気味に笑みを浮かべる彼。

彼が二日酔いになるなんて、今まで見た事がない。

普段飲み慣れない日本酒が効いたのかしら?

父親が無理やり勧めたのもあるだろうけど……。


私はバンケットスタッフにノンアルコールのドリンクを貰って、

挨拶回りをしている彼にそっと手渡した。

すると、


「希和」

「はい」

「あそのこテーブルにいる黒いワンピースの女性、知り合いか?」

「黒いワンピース?…………いえ、知らない人だけど」

「…………そうか」


京夜様は私のトレードマークになりつつあるヘアピンに触れながら、

周りの人には気付かれないようにさりげなく呟いた。


10分ほど前に挨拶に伺ったテーブルにいた女性。

隣にいる男性が彼のお父様のお知り合いだとかで、

簡単に挨拶をしたんだけど……。

京夜様に言われて少し気になり、

さりげなく何度か視線を向ける度に何故か視線が合う。


―――――完全に私を見ている。


何故かしら?

もしかして、京夜様のファンだとか?

巷では有名な御曹司だし、御曹司じゃなくたって超イケメンだもの。

雑誌やテレビで何度も映ってるから、認知度も高いし。


そんな彼の婚約者が私だから?

どこにでもいるような庶民の女が婚約者だから?


だから、許せなくて………睨んでるの?



視界に捉えた女性は、何故か……私を睨んでいた。


< 253 / 456 >

この作品をシェア

pagetop