オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


結納を無事に済ませ、後は婚約披露パーティーのみ。

事前にマスコミ対応を済ませてある為、

冒頭の写真撮影を乗り越えさえすれば……後は簡単な挨拶回りだけ。


希和は終始緊張気味で、必死に笑顔を繕っている。

そんな彼女に申し訳なくて……。

俺が御影ではなく、ごく普通の家庭に生まれてたのなら……。


二日酔い気味の俺に気遣って、グラス交換までする彼女。

本当に何から何まで完璧すぎる。



しかも、彼女は慣れない振り袖姿で立ちっぱなし。

愛想を振りまくだけでも大変なのに、

数え切れぬほど会釈して……。

ほんの少しの間だけでも座らせてあげたいのに

席を外そうとすると、声がかかる。

やっぱり主役の俺らが席を外す訳にはいかないらしい。

それなら、とっとと済ませて終わらせるまでだ。



俺は彼女の手を引きながら、次々とテーブルを回った。






3時間以上にも及ぶ婚約披露パーティーは無事に終わり、

俺と希和は御影の車でマンションへと帰宅した。



振袖から部屋着に着替えた彼女は、

いつも通りにキッチンに立っている。


………今日が結納だった事も微塵も感じさせず。



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